商品紹介動画を3種類つくるべき合理的な理由

動画で商品を紹介する手法は、今や多くの企業で導入されています。しかし1本の動画で「すべてを伝える」ことには限界があります。視聴者のニーズは一様ではなく、購買段階によって求める情報も異なるためです。

たとえば、興味を持ったばかりの人は“ざっくり知りたい”、購入直前の人は“使い方や注意点を詳しく知りたい”、そして購入後の人は“よくある疑問を解決したい”。それぞれの関心に対応するには、動画を 目的別に3パターン用意するのが効果的なのです。

3パターンの内訳とそれぞれの役割

下図のように、各段階での動画の役割は異なります。

タイプ 視聴タイミング 主な目的 内容の特徴
① 短尺PR編 関心前〜関心初期 注目を集める 15〜30秒程度、印象的なビジュアルやフレーズで惹きつける
② 詳細編 購買検討中 商品の理解 商品の特徴、強み、導入シーンなどを丁寧に紹介(1〜3分)
③ FAQ解決編 購入直前〜購入後 不安・疑問の解消 「よくある質問」を動画形式で回答。信頼の獲得にもつながる

この3パターンで、商品の「入り口」から「理解」「購入決断」までをスムーズにつなぐ導線をつくれます。

なぜ3タイプに分けた方がいいのか?

1本に情報を詰め込みすぎると、視聴者は途中で離脱しがちです。特にスマホでの視聴が多い現代では「時間に合わせた設計」が重要。
3タイプに分けることで、視聴者自身が必要な情報を選べる構成になります。

また、SNS広告・ECサイト・自社HP・営業資料といった活用チャネルに合わせて最適化できるのも強みです。たとえば、SNSではPR編を使い、問い合わせ後には詳細編を送るなど、動画が営業フローに自然に組み込まれます。

FAQ動画は“顧客サポート”としても機能する

とくに注目すべきは③のFAQ解決編です。購入前の不安だけでなく、購入後の「これってどう使うの?」という疑問にも答えることで、カスタマーサポートの役割も担えます。
文字で読むマニュアルよりも、映像で見る方が理解しやすいため、クレーム削減にもつながります。

動画は万能ではありません。だからこそ、伝えるべきことを目的別に分けて、適切なタイミングで届けることが重要です。

再度ポイントを整理します。

  • 興味喚起用の【PR編】(短尺)
  • 検討促進用の【詳細編】
  • 購入後フォローの【FAQ解決編】

この3パターンを揃えることで、商品理解も購入体験もスムーズに。
「伝わる動画」は、分けて作るのが正解です。

スーパーのお惣菜紹介動画が心をつかむワケ

地方のスーパーが投稿する“お惣菜紹介動画”が、TikTokやInstagramでじわじわと再生回数を伸ばしています。店舗スタッフが手作り弁当や揚げ物を紹介するだけのシンプルな内容にもかかわらず、再生数は多くあります。これは、「生活のリアル」にフォーカスした動画が、都市部の視聴者にも刺さっていることを意味しています。

エンタメ要素になり得る“素朴さ”の正体

特徴は、演出されすぎていない“素朴さ”です。スタッフの方言混じりの説明や、ラップ音が混ざる調理風景、時には段ボールの横で並べられるコロッケなど、どこか親しみやすく「現場感」がある。これは逆に、過度に作られたPR動画との差別化となり、視聴者の好奇心を刺激します。

なぜ見てしまう?「日常」をコンテンツ化する力

お惣菜紹介動画は、料理動画や食レポとは違い、どちらかというと“日常観察”に近いジャンルです。以下のような視点が、視聴者を惹きつける要因になっています。

視点 内容例
感情移入型 地方の暮らしや食文化に思いを馳せる
実用情報型 今日のごはんの参考にしたい
癒やし・暇つぶし型 なんとなく見続けてしまう雰囲気やトーンがある

つまり、「何かを得る」よりも「何となく心地よい」動画が支持されているのです。

機材よりも“誰が語るか”が重要

動画制作というと、機材や編集技術が注目されがちですが、このジャンルでは“出演者の存在感”こそが大切です。ベテラン主婦のトークや、ぶっきらぼうな調理担当の語りが、地元密着感を強めています。背景に少し雑多なバックヤードが映っていても、むしろ「リアル」として機能します。きれいな映像美より、「味のある人物」が主役になれる構成が求められます。

企業目線でこの動きを取り入れるなら、「情報」ではなく「空気」を伝える動画づくりが鍵となります。たとえば以下のようなアプローチが有効です。

  • 編集よりも撮りっぱなし感を活かす
  • 店員さんの“地声”をそのまま使う
  • 日常のワンシーンを切り取る構成にする

広告的な意図を前面に出さないことで、逆に「この店いいかも」と感じてもらう効果があります。

過度な演出をしない“生活感”こそが、視聴者の心に残る動画になるということです。動画制作の現場では、機材や構成に目が行きがちですが、「誰が、どこで、どう話すか」という視点を持つことが、動画の魅力を引き出す近道になるでしょう。地方スーパーの動画に、ヒントが詰まっています。

お祭りの片付けを撮る。終わりに宿る“日本らしさ”を動画に

「片付け」から始まる“もう一つの祭り”

お祭りのクライマックスは神輿や花火かもしれませんが、動画制作者が注目すべきは終わりの風景です。

多くの人が注目するのは、神輿や花火、屋台で賑わう「お祭りの最中」です。
しかし、地元の方々の間で密かに重んじられているのが“片付け”の時間。
それは単なる後始末ではなく、「祭りを納める」ための大切なプロセスとして受け継がれています。
夜が更けた後に、提灯を一つひとつ外し、ゴミを拾い、無言で屋台を解体するその姿には、どこか神聖ささえ漂うのです。

なぜ「終わり方」に日本人は美を感じるのか

日本文化において「終わり」や「余韻」は、始まりと同等に重視されます。
茶道では“後片付け”までが稽古であり、能や歌舞伎でも“終幕の静寂”に重きが置かれます。
この感覚は、お祭りにも通じています。
賑わいの後の静けさを丁寧に整えることで、騒がしさに意味が生まれる。まさに、日本ならではの感性です。

動画で撮るなら「最後の30分」を狙う

お祭りの片付けを映像で残す際、狙うべきは“最後の30分”です。
機材撤収、仮設テントの解体、交通整理の終了──そのすべてが一種の“儀式”に見えてきます。
▼例:撮影のねらいポイント(表)

シーン 見どころ
提灯の取り外し 色がゆっくり消える様子
屋台の解体 職人の無言の作業
ゴミ拾い 地元の人の丁寧な手

音声はあえて最小限に抑え、環境音だけを拾うことで、空気の変化を映し出すことができます。

“裏方”にこそ映る人間味と誠実さ

片付けに携わるのは、実行委員や自治会、時には高校生のボランティアなど。
主役ではない彼らの姿にこそ、「人の営み」の本質があります。
例えば、何度もテントを畳み直す中年男性や、落ちた紙くずを手で拾い続ける年配の女性。
無名の人々の小さな動作が、美しく見えるのは、その真剣さと誠実さに理由があります。

あえて“終わり”を伝える動画の価値

SNSでは派手な瞬間が好まれがちですが、視聴者の記憶に残るのはむしろ「後味」です。
あえて終わりの瞬間を描くことで、「これは何だったのか?」と見る側に問いを残せます。
ある映像作家は、片付けだけを撮った5分動画を公開し、「逆に心が満たされた」と多数のコメントが寄せられました。
日常の中にある“非日常”ではなく、“非日常が日常に戻る瞬間”にこそ、深い余韻があるのです。

お祭りの片付けは、ただの撤収作業ではなく、日本文化が持つ「終わりを整える」美意識そのものです。
提灯を外す静かな手つき、ゴミを拾う真摯な姿、そして騒がしさが静けさに戻る流れ。
それらすべてが、視覚的な演出ではなく、日常の中にある誠実さとして現れます。
華やかな表舞台の裏にこそ、深いドラマがある。
それを伝える動画こそ、記憶に残るコンテンツになりうるのではないでしょうか。

手水舎でわかる文化の違い?映像で記録する神社マナーの多様性

神社の入り口近くにある手水舎は、単なる手洗い場ではありません。宗教的意味や清めの作法を含んだ“文化の交差点”ともいえる場所です。このスポットでカメラを回すと、訪れる人それぞれの「無意識の違い」が浮かび上がります。ある人は丁寧に柄杓を持ち替えて清め、ある人は軽く水をかけるだけ。どちらも間違いではなく、その人の背景や理解度が表れる瞬間です。

映像で比較する、多様な行動パターン

動画制作において、「同じ場面を異なる対象で撮る」ことは、視聴者に自然な違和感や気づきを与える手法です。手水舎の場合、以下のような切り口で編集が可能です。

被写体 行動の傾向 コメント例
海外観光客 手順を確認しながら戸惑う 「見よう見まね」が多い
子供 楽しそうに水を扱う 遊び感覚が強い
高齢者 非常に丁寧に所作を行う 所作に“慣れ”がある

これらの映像を並べることで、「文化との接し方の違い」が印象的に浮かび上がります。

マナーという曖昧さが、視覚的に際立つ

面白いのは、手水の正解が一つではない点です。手水舎には掲示物がある場合もありますが、すべての人がそれを読むわけではありません。誰かの所作を“正解”として見習う人もいれば、自分の知っている作法を自然に行う人もいます。その曖昧さが、映像で見ると一層クリアに伝わってくるのです。

観て比較されることで、「違うけど不快ではない」「不慣れでも一生懸命」が伝わりやすくなります。こうした“ズレ”こそが、映像コンテンツとしての強みになります。

静かな場所での撮影の工夫

手水舎は多くの場合、静寂と格式が求められる神聖な場所です。そのため、撮影時には以下の配慮が欠かせません。

  • マイクを使用せず、環境音のみで構成
  • 撮影者の影や姿が映り込まない構図を工夫
  • 長回しで「間」を生かすカットを優先

言葉を足さなくても、空気の緊張や行為の丁寧さが映像に宿ります。ナレーションなしでも伝わる「静かなドキュメント」として成立させることが可能です。

視点を変えると、映像に奥行きが出る

最後におすすめしたいのは、「固定視点」と「被写体の目線カメラ」の組み合わせです。たとえば、同じ手水場面でも真横から撮った画と、本人視点(GoProや胸元カメラ)では印象がまったく異なります。

  • 横から撮る → 第三者的な観察、文化比較としての価値
  • 本人視点 → その人がどう“戸惑い”“感じ取ったか”を再現

こうした視点の切り替えが、動画に深みを与えます。

「手水舎で手を洗う」ただそれだけの行為の中に、文化・年齢・経験値といったさまざまな要素が滲み出ます。動画として記録することで、その“無意識の差異”が可視化され、言葉以上に伝わる瞬間が生まれます。マナーや作法の解説動画ではなく、「行動の違い」を静かに並べるだけでも、立派なコンテンツになります。日常の中にある“多様性”を、レンズ越しに見つめてみませんか?

同じ景色を3人で撮ったら“視点の個性”が浮き彫りになる動画の面白さ

例えば、ある公園のベンチを3人が同じタイミングで撮影したとします。立ち位置も、カメラのスペックも同じ。なのに、仕上がった映像はまるで別の場所を映しているように感じる。
それは「どこに注目するか」、「どう動くか」、「どの瞬間で止めるか」によって、視点の個性がにじみ出るからです。

これが“映像を使った比較企画”の妙味。客観的な事実ではなく、主観の違いをコンテンツにすることで、撮影そのものに興味を持ってもらえるのです。

3人の“撮り分け”に見える個性の図解

以下は、同じ「並木道の公園」を3人が撮影した例をシンプルに図解したものです。

撮影者 構図の特徴 動きの傾向 注目するポイント
Aさん(静観型) 遠景で全体を収める カメラはほぼ固定 光の入り方、空の広がり
Bさん(動感型) ローアングル多用 歩きながら撮影 足元の落ち葉、影の動き
Cさん(物語型) 中景・寄り中心 人物を追うカット多 子どもの表情、やりとりの音

このように「誰が」「何に気を留めたか」が可視化されると、視聴者も自分の感性と照らし合わせて見られるようになります。“映像で語る”のではなく、“映像に現れる癖を観察する”という視点がユニークです。

「構図の癖」からその人の“視覚のクセ”が見える

一人の視点には、その人の経験や美意識が必ず反映されます。たとえばローアングルを多用する人は、「自分が見たことのない景色」を好む傾向があるかもしれません。広角で全体を収める人は、俯瞰的に物事を見るタイプかもしれません。

これは単なる「作風」ではなく、無意識のうちに表れる“見るクセ”。複数人の撮影者で比較することで、その人の性格すらもにじみ出るのが映像の面白さです。

「3人で撮る」からこそ浮かぶ、個性のグラデーション

1人で撮っても、いい映像は作れます。ただ、「誰かと比べる」ことで、自分のスタイルがより立体的に見えてくるのです。

たとえば、同じ夕日を撮っても、

  • 一人は「沈む太陽」だけを追う
  • 一人は「夕日に照らされる街並み」にフォーカスする
  • 一人は「その場にいる人の表情」を狙う

この差は、どちらが優れているという話ではありません。3つ並べてはじめて“それぞれの美意識”が浮かび上がるという点が重要です。これを「映像の個性比較コンテンツ」として企画すると、教育・エンタメ・企業研修などさまざまな場面に応用ができます。

機材ではなく“視点”が映像を決める

ここまで読んで「じゃあ、高い機材がなくても面白い映像は作れる?」と思った方、答えはYESです。本当に違いが出るのは“カメラの性能”より“注目の視点”です。だからこそ「3人が同じスマホで撮る」といった縛り企画は逆に効果的。
視点を“比較可能な状態”に置くことで、映像が“その人自身の表現”になる。この構造が、他と差をつける動画企画につながります。

同じ景色を3人で撮る。それだけで「個性の見える化」が成立するのが、映像というメディアの魅力です。構図、動き、着目点。何をどう切り取るかは“その人の目線”そのもの。だからこそ、誰かと比べることで初めて見えてくる自分の視点があります。高価な機材がなくても、見ているもの・捉え方で差がつく動画。ぜひ「視点の違い」に注目した撮影、試してみてください。

“やり直せるなら何を選ぶ?”日常の後悔が生むドラマ

些細な後悔ほど、多くの人の心に刺さるものです。
忘れた傘、言いそびれた一言、朝の選択ミス。それらは劇的ではないけれど、振り返ると妙に残るもの。
「1日1つだけやり直せるなら?」というテーマの動画は、まさにその“かすかな引っかかり”を掘り起こす問いです。
だからこそ自身の記憶を重ね、自然と画面に目を留めるのです。

動画構成は3幕で考える

このテーマに合った動画の骨組みはシンプルに三部構成。

パート 内容
1幕 何気ない選択(例:右に行くか左に行くか)
2幕 結果として起こる小さな後悔
3幕 もしやり直せたら…という仮想シーン

この構成にすることで、短時間でも「起・承・転」を感じさせる流れが自然に作れます。
さらに“分かれ道”の選択を強調することで、動画のテーマ性も伝わりやすくなります。

実体験ベースで作ると嘘くさくならない

このテーマで重要なのは、リアリティです。
あくまで等身大の後悔を扱うため、盛った演出や過剰なドラマ展開は逆効果。
過去のSNS投稿や日記、友人との会話などから“自分自身のささやかな後悔”を題材に選ぶと、動画に奥行きが出ます。
実体験だからこそ、セリフが嘘っぽくならず、静かな余韻が残ります。

視聴者参加型にすると広がりが出る!?

視聴者にも「あなたなら何をやり直したいですか?」と問いかけると、反応が集まりやすくなります。
YouTubeのコメント欄やTikTokのデュエット機能などを使い、双方向性を意識することで、企画自体に広がりが出ます。

映像トーンと音の使い方で「空白」を演出する

この動画ジャンルでは、BGMもピアノや環境音など、控えめな音で感情の余白を残すように演出することにより、観る人に解釈を委ねることができます。
映像のトーンも、明るすぎず暗すぎず、日常のワンシーンに寄せた“素のまま”の映像美を意識すると、深く染み込む動画になります。

「1日1つだけやり直せるなら?」というテーマ動画は、派手な演出がなくても人の心を動かす力を持っています。
日常の小さな後悔を題材にすることで、観る人が自分自身を重ねて考えるきっかけになるからです。
リアルな体験から構成を組み、視聴者に問いかける工夫を加えれば、共感が広がり、企画そのものの価値も高まります。
短編であっても深い余韻を残せる。そんな動画を目指してみてはいかがでしょうか。

“北へ30分歩く”だけ|偶然の旅を動画にする

「北へ30分」。それだけを頼りに始める撮影旅。目的地は決めず、ただコンパスと時計を持って歩き出す。実際にやってみると、意外なほど発見に満ちている。「意外に商店街があった」「高速道路で行き止まりになった」「住宅地がずっと続いた」など、撮る側の想定を軽やかに裏切ってくれるのがこの手法の魅力です。

表:方角×時間で見えるロケーション傾向(例)

方角 歩行時間 たどり着くエリアの傾向
30分 高台、住宅街、公園が多め
30分 商業地、川沿いの遊歩道
30分 工場地帯や郊外エリア
西 30分 古い街並みや神社が残る地域

 “決めない”ことで得られる映像のリアルさ

ロケーション撮影では、事前に場所を選定し、絵コンテ通りに進行するのが一般的。しかし、「方角だけ」に任せた動画には、その場の音、空気、人の動きがそのまま映る。これが、見る人に妙なリアルさや共感を与えます。

とくにおすすめなのは、徒歩中に現れる人々の営み。洗濯物を干す人、公園で遊ぶ親子、犬の散歩…まったくの“素人出演者”が、映像に抜群の自然さを与えてくれます。

偶然の一致が感動になる編集構成

素材をつないでいくと、意図せず「物語」になっていることが。たとえば、最初は人気のない一本道でも、終盤に突然祭囃子が聞こえてきたり、曲がり角で満開の桜に出会ったり。編集時には、ナレーションを足さず、テロップと環境音だけで構成するのも効果的ですね。

偶然起こったことが、結果的に「構成」に見える。それは、視聴者に「これは何かの縁かも」と思わせる力を持っています。

企業動画やPRにどう活かせる?

一見、個人のVlog向けに思えますが、実は企業のブランドムービーにも応用ができます。たとえば、社員が本社を起点に“東へ20分”を歩いた先にある町の風景を記録することで、「この会社がある地域の空気感」を伝えられます。

とくに地域密着を謳う企業や、採用活動で地元愛を打ち出したい場合には、「方角だけ旅」が効果を発揮するかもしれません。

撮影と編集の実践ポイント

  • 撮影時の工夫
    スマホのコンパス機能とタイマーを使えば、特別な機材は不要。GoProや360度カメラを使うと臨場感が増す。
  • 歩きながらの音声記録
    あえて一人でつぶやきながら歩くと、視聴者はその感情に寄り添いやすくなる。
  • 編集での工夫
    テロップは最小限。環境音を活かすためBGMも控えめに。ラストには「次は南へ30分」と続編を匂わせる終わり方が理想。

「方角と時間」だけを頼りに歩き続ける動画は、撮る側にとっても見る側にとっても、“計画された偶然”という新鮮な驚きをもたらします。都市の変化や人の営みが、まるで自分の選択で現れたかのように思えてくるのです。個人のVlogに限らず、企業の地域PRや採用ブランディングにも応用可能な手法として、「方角だけ探訪動画」は今後注目すべきコンテンツフォーマットといえるでしょう。

映像で振り返る、あの日の“決断”という物語

動画の始まりは、ただの二択。「朝、コーヒーにするか紅茶にするか」。
言葉はなく、静かな映像と、さりげない手の動きだけ。
このような“選択肢の瞬間”だけを連続して見せる動画があります。

重要なのは、選択肢そのものではなく「なぜその一方を選んだのか?」を観る人自身が想像できる点にあり、
人にとって最もパーソナルな感情の記憶を引き出すきっかけになるのです。

なぜ2択構成が“人生の深さ”を表現できるのか?

「選択の連続が人生をかたちづくる」。

そう考えると、たった2つの選択肢でも十分に「個人の軌跡」を語ることが可能になります。

例えば、

シーン 選択肢A 選択肢B
就職前夜 電話をかける かけない
雨の朝 出社する 休む
帰省シーズン 実家に帰る 帰らない

どれもドラマチックではありません。しかし、どれも「人生を少しだけ変える可能性のある分岐点」です。

この“ささやかな選択”を積み重ねることで、「日常の断片」から「自分の過去」を再構築するような映像体験が生まれます。

言葉よりも沈黙が語る

2択をベースとした映像では、セリフや説明的なナレーションを極力排除します。
その代わりに映像に余韻を持たせたり、「選んだ直後の表情」や「手の動き」「周囲の音」に重点が置かれます。

とくに以下のような手法が効果的です。

  • フェードイン/アウトによる切り替え
  • 選んだ瞬間の手元アップ
  • 画面左右に分割して“比較”で見せる(例:コーヒー/紅茶)

観る人にとっては、語られないからこそ、“自分ならどう選んでいたか”を重ね合わせて見ることができます。

広がる活用シーン

この2択構成は、企業のプロモーションや採用動画にも応用可能です。

  • 社員に「会社に入る or 入らない」をテーマに語ってもらう
  • 商品開発の現場で「この素材にする or しない」の決断シーンを記録
  • 若手社員の“初めての判断”を可視化し、成長を感じさせるドキュメントに

また、SNSでは「15秒で分かるあなたの選択史」といった短尺動画としても展開しやすく、TikTok・Instagram Reelsとの親和性も高いです。

 “決断”をエンタメに変える

現代は「結果よりもプロセス」「正解よりも選択そのもの」に共感が集まる時代。
派手な演出よりも、2択という“制約”を通じて見えてくる心の動きに価値を感じられます。

誰もが「日常の選択」を積み重ねて生きているからこそ、その1つひとつに焦点をあてることで、特別な物語に変わるのです。

2択だけで構成する映像は、視覚的にはシンプルながら、観る者の想像力を大きく揺さぶる表現手法です。
選ばなかったほうの未来、なぜその一方を選んだかという“無言の感情”。
それらが、ただの記録を“人生の軌跡”へと変えていきます。

企画・採用・個人のライフログ。あらゆる場面に使える2択構成、次に振り返るべきは「自分の選択の記録」かもしれません。

“手を振る瞬間”の動画が持つ力

人の感情は、言葉よりも小さな動きにこそ宿る。そう感じたことはありませんか?
「手を振る」という動作は、日常の中であまりにも当たり前に存在しています。
しかし、笑顔とともに振る手、無言で少し戸惑いながら揺れる手、去っていく背中に向けて遠慮がちに振られる手…。たった1秒の映像でも、人の関係性や空気感がにじみ出ます。

動画として「手を振る瞬間だけ」を切り取ると、その裏側にある言葉にならない感情が現れ、不思議と“泣けてしまう”のです。

言葉なきコミュニケーションの妙

手を振る行為は、挨拶・別れ・感謝・応援など、多くの感情に対応する“万能の仕草”です。
特に映像において、音声を入れず手だけを見せることで、想像が膨らみます。
BGMを最小限に抑えることで、視聴者は「振られる側」の気持ちになったり、「振る側」の余韻に浸ったり。

たとえば以下のような構成が考えられます。

シーン 手の動き 補足する感情
玄関で手を振る親 小さく静かに 寂しさと見守り
駅のホームでの別れ 大きく何度も 名残惜しさ
子どもから手を振る はしゃいだ動き 喜びと無邪気さ

このように、“言わない”ことで浮かび上がる関係性が余韻を残します。

見る人にゆだねる

映像がすべてを説明してしまうと、見る側は“感情の入る余地”を失います。
しかし、手を振るシーンだけをランダムに編集した動画は、視聴者の記憶や体験と自然に結びつきます。

とくに重要なのがカットと順番。
・感情の強い場面を最初に置くのか
・徐々に変化させてラストで涙腺を刺激するのか

短い動画でも、“構成で泣かせる”ことは可能です。

企業・地域でも応用できるフォーマット

このような「仕草だけで語る」手法は、ドキュメントやブランディングにも応用できます。

たとえば、

  • 地域のイベントで手を振る高齢者の映像
  • 工場見学の終わりに社員が手を振る姿
  • オフィスの窓から、退勤する同僚を見送る手の動き

こうした映像を切り取るだけで、「温かさ」や「つながり」といった抽象的価値が伝わります。

 感情を託す

私たちは“完璧な説明”より、“想像の余地”に感情を動かされます。
「手を振る動画」はまさに、その余白の演出。
誰もが経験したことのあるシーンだからこそ、過去の記憶と重なり、強く心に残るのです。

手を振るだけの1分動画がなぜ泣けるのか。
それは、言葉を使わずとも感情が伝わる“動作の詩”だからです。
映像に説明を詰め込むのではなく、「見た人が、自分で感情を重ねる」ことが、これからの映像表現には求められているのかもしれません。

朝ごはんで1週間の気分が見える?ライフログ動画

忙しい日も、のんびりした日も、1日のスタートに口にする“朝ごはん”には、その日のテンションや体調が色濃く表れます。動画で記録してみると、「月曜は軽めのバナナ」「水曜はコンビニおにぎり」「金曜は豪華なパンケーキ」など、1週間の流れがじんわりと映し出されます。これは、ライフログとしての“食の記録”が、無意識に心の状態や生活リズムを物語っている証拠です。

映すのは料理ではなく“雰囲気”

このタイプの動画では、料理自体を丁寧に撮ることも大切ですが、それ以上に「映っていない情報」が肝になります。たとえば、机の上に置かれたPC、光の入り方、無言で咀嚼する様子……。こうした“食べる前後”の雰囲気を含めて記録することで、視聴者はその人の1日を想像できます。

曜日ごとの朝食をつなぐだけで“7日間の物語”

たとえば、以下のような図の構成ができます。

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
軽食 軽食 手抜き 定食 豪華 ゆるめ 野外

このように、曜日の並びに沿って編集するだけでも、視聴者には「この人、木曜はちょっと頑張ってるな」などの感情が浮かびます。朝食というミニマルな要素でも、繋げ方次第で1週間のドキュメンタリーになります。

言葉はいらない。音とリズムで魅せる

この手法で意識したいのは“音”。調理の音、コーヒーを注ぐ音、包丁のリズム。それらを活かすことで、無言でも動画にリズムが生まれ、見続けたくなる心地よさが生まれます。BGMをあえて使わず、生活音だけで構成するのも選択肢の一つです。

「朝ごはん動画」は、単なる食の記録ではありません

曜日・空気感・音のリズムを掛け合わせることで、“気分”と“生活”が自然ににじみ出る記録ツールになります。言葉ではなく、日常のテンポを伝えるからこそ、見る人の心にもスッと入ってくるのです。あなたの1週間を、まずは朝ごはんから撮ってみませんか?