従来の採用動画は、インタビューや企業紹介が中心でした。しかし、最近注目されているのが「主観カメラ」で撮影した動画です。これはGoProやスマートグラスなどを使って、社員目線で1日の業務や社内の様子を追いかけるスタイル。視聴者はまるで実際に会社見学をしているかのような感覚を味わえます。情報を“受け取る”から、“体感する”に変化することで、企業理解の深度が大きく変わります。
「体験的な理解」が志望度を左右する
採用活動において、応募者が不安に感じるのは「入社後のリアルな姿が見えないこと」です。主観カメラ動画では、上司とのやりとり、業務中の動き、休憩の様子など、職場の“空気感”まで伝えることができます。静的な情報よりも、動的な映像体験によって、視聴者は自分がそこで働く姿をイメージしやすくなります。これは、応募の意思決定にも直結する要素です。
ナレーションや字幕“補助情報”を加える工夫
主観カメラの特性上、視覚情報がメインになりますが、補足としてナレーションやテロップで“考え方”や“意図”を補足することが重要です。たとえば、「この部署ではチームワークを大切にしています」など、行動に込められた企業文化を文字や音声で補うことで、映像だけでは読み取れない価値観も自然に伝わります。
視聴者の集中を保つ時間構成とテンポ
主観カメラ動画の注意点は「長尺になると飽きられる」という点です。理想は3~5分前後で、時間帯ごとにシーンを切り替えるなど、リズムを持たせる構成が効果的です。朝の出社→ミーティング→業務→ランチ→退勤といった流れをテンポよく見せることで、視聴者は自然に最後まで見てくれる可能性が高まります。
“演出しすぎない”リアルさが信頼につながる
企業が主観カメラ動画を制作する際に陥りがちなのが、「演出しすぎて現実離れしてしまう」ことです。モデルのような社員や演出された笑顔ばかりでは、かえって視聴者は距離を感じてしまいます。リアルな声や表情、少しのハプニングなど、あえて“等身大”の姿を映すことが、信頼感と親近感につながるポイントです。
主観カメラによる採用動画は、視聴者に「自分がその会社で働く姿」をリアルに想像させる力を持っています。社員の視点を通して、仕事の流れや職場の雰囲気を体感できることで、入社後のミスマッチを防ぎ、応募者の質を高めることができます。ただし、長尺にしない・リアルさを大切にする・補足情報を加えるなどの工夫が必要です。企業の素顔を見せるこの手法、これからの採用動画の主流になるかもしれません。