なぜ「目に見えない価値」が重要なのか?
採用やブランディングにおいて、製品や給与条件などの「見える価値」だけでは差別化は難しくなっています。志望者や顧客は、企業の「らしさ」や「姿勢」といった、数値化できない要素に強く惹かれるようになりました。
この“目に見えない価値”は、以下のように分類できます。
▷「目に見えない価値」の種類
種別 | 内容例 |
文化 | オフィスの空気感・チームの雰囲気など |
哲学 | 判断基準、組織としての大切な考え方 |
ビジョン | 会社が向かおうとしている未来像 |
こうした要素を、どうやって動画で可視化するかが課題です。
セリフではなく「行動」で語る
価値観や文化を伝える際、「理念を語る」よりも「行動を見せる」ほうが伝わりやすくなります。たとえば、「挑戦を大切にする文化」は、実際に若手がプロジェクトを任されているシーンや、失敗後に拍手が起こる場面などから自然に読み取れます。
映像が強いのは、言語に頼らなくても“意味”を伝えられる点。理念を掲げるより、その理念がどう職場で“息づいているか”を描写することで、見る側の理解が深まります。
撮影前の「翻訳作業」を挟む
「自社の文化を映像で表現したい」と思っても、いきなりカメラを回すのではなく、まず“翻訳作業”が必要です。
つまり、抽象的な価値観を、具体的な出来事・振る舞いに落とし込むことが大切です。
▷ 抽象から映像への翻訳例
抽象的な価値 | 映像化のアイデア |
成長を支える文化 | 先輩が後輩に昼休みに教えている様子 |
多様性を尊重する姿勢 | 異なる背景を持つメンバーが一緒に働く場面 |
顧客を第一にする哲学 | 顧客のもとに自ら足を運ぶ社員の姿 |
この作業こそ、動画制作の“設計図”ともいえるでしょう。
ナレーションではなく“空気”を見せる
ナレーションで理念を説明するよりも、職場の日常風景を切り取ることの方が説得力を持ちます。
社員同士の雑談、黙々と集中する様子、ふとした笑顔。そうした無言のカットが、企業の文化を雄弁に語ることがあります。
また、BGMや照明などの“映像のトーン”も、見えない価値観を補足する重要な手段です。落ち着いた雰囲気を演出したいなら、ナチュラルな色合いとゆるやかな音楽を。逆に活気を伝えたいなら、テンポの良い編集が効果的です。
動画は「感じる取らせる」もの
結局のところ、“形のないもの”は受け手の想像力に委ねるしかありません。すべてを言語化せず、視聴者が「なんとなく良さそう」「ここで働いてみたい」と感じる余白を残すことが、印象に残る映像につながります。
価値観を無理に説明するより、「そういう会社なんだな」と思わせる“空気の設計”が、動画の本質かもしれません。
企業の文化や価値観のような「目に見えない価値」は、動画を通じて十分に伝えることが可能です。ただしそのためには、抽象を具体に落とし込み、説明ではなく“行動”で見せる工夫が必要です。
また、ナレーションやロゴに頼らず、空気感や日常のシーンから価値を感じ取らせる構成が鍵になります。
ビジョンや哲学を“魅力”として伝えたいなら、撮影前の設計段階から慎重に構成を考えましょう。