ビジネスにおいて、製品のスペックや価格競争力は当然の条件ですが、顧客が最終的に選ぶ理由は“安心感”や“共感”であることが増えています。特にB to B領域では、長期的な関係性が重視されるため、「どんな人たちが作っているか」「どんな価値観を持っているか」といった“人間的な側面”が評価基準になります。
下図は、企業選定時に重視されるポイントの一例です。
評価項目 | 重視される割合(例) |
製品スペック | 30% |
価格 | 20% |
担当者の対応や印象 | 25% |
企業文化・価値観 | 15% |
その他 | 10% |
社員を紹介する動画は、この“製品外の要素”を担うメディアとなります。
社員の「趣味」や「個性」を見せることの効果
一見、業務に関係のないように思える「趣味」「休日の過ごし方」「ちょっとしたクセ」などが、実は企業への親しみやすさにつながります。SNS全盛の今、「肩の力が抜けた情報」の方が視聴者に刺さるケースが多く、個人の魅力がそのまま企業ブランディングへと転化していくのです。
たとえば「ギターが趣味の設計担当者」「猫好きの営業部長」など、ほんの短い紹介でも企業の“空気感”が伝わります。こうした動画は、採用活動や取引先への紹介にも有効です。
撮影・構成のポイントは「ナチュラルさ」
動画制作において重要なのは、“演じすぎないこと”です。台本通りに話すよりも、リラックスした雑談の中にこそ個性がにじみ出ます。ポイントは以下のとおり。
- 雑談形式のインタビューにする
- 趣味のアイテムを画面に入れる(楽器、スポーツ用品など)
- ロケ地は社内のちょっとした空間(休憩所、屋上など)
プロモーション動画というと堅苦しくなりがちですが、「あえて砕けた映像」にすることで、人の体温が伝わりやすくなります。
企業としての一貫性は「編集」で整える
自由な個性を出しつつも、動画としてのトーンを統一することも大切です。バラバラな印象にならないよう、編集での一貫性を保ちましょう。
- 統一フォーマット(冒頭に名前と部署、締めは一言コメントなど)
- テロップの色やフォントを会社のCIに揃える
- BGMは柔らかめのものを全動画で統一する
このように編集によって“企業の統一感”を演出することで、視聴者が持つ印象に芯が通ります。
活用シーンと動画の導線づくり
完成した動画は、「見てもらう場所」を明確に設計しておきましょう。効果的な導線設計の一例としては以下の通りです。
導線先 | 推奨する活用法 |
企業ホームページ | 採用情報ページの中で社員紹介に使用 |
展示会ブース | モニターやタブレットでループ再生 |
名刺交換後のメール | 自己紹介リンクとしてURLを貼る |
SNS | タグをつけて自然な投稿形式で拡散 |
“観てもらう設計”がなければ、どれほど良い動画も埋もれてしまいます。
「社員紹介動画」は、単なるコンテンツではなく、企業の印象そのものを伝えるツールです。特に社員の“好きなこと”や“素顔”を映すことによって、製品では伝えきれない温度感や価値観が伝わります。構成のポイントは“自然体”であること。無理に作り込まず、編集で全体の一貫性を保ちつつ、活用場所まで設計すれば、採用・営業・広報と幅広いシーンで効果を発揮するでしょう。