二代目企業のための“継ぐ想い”を形にする動画

創業者の強烈リーダーシップや理念に支えられていた企業が、代替わりすると“何を語るべきか”迷いがちです。
特に動画となると、カメラの前で話す人物の説得力や表情が大きく影響するため、創業者不在の企業では「誰を出せばいいか分からない」という声が多く聞かれます。

これは決して「語れる人がいない」のではなく、「語り方の軸を見失っている」状態。
重要なのは、“先代が築いた価値をどう受け継ぎ、何を現代の言葉で伝え直すか”という再解釈です。

 “人”を見せるのではなく、“姿勢”を見せる

創業者が登場しないからこそ、主役は“企業としての振る舞い”になります。
動画では社長や役員のインタビューだけでなく、日常の仕事風景や、社員同士の関係性、地域とのつながりなどに注目すると、企業が持つ空気感や文化が浮き彫りになります。

特に以下のような視点が効果的です:

視点 映像での表現方法
継承の意識 旧工場の一部を残している、昔の看板など
地域との関係性 地元イベントや祭りに参加している様子
日常のリアルさ 朝礼や掃除の様子など、飾らない日常

こうした要素が積み重なることで、“この会社は地に足がついている”という印象が自然と生まれます。

伝統と革新を分断せずに並列で見せる

多くの企業動画では「過去の紹介→未来への展望」という時間軸で構成されがちですが、代替わり企業では“伝統と革新を同時に語る”ことがポイントになります。

たとえば、創業当時から守っている製造工程と、現在取り入れているDX(デジタル化)の取り組みを交互に見せる構成にすると、“守るべきものと変えるべきもの”のバランスが視覚的にも伝わります。

「個人の思い」ではなく「共同体の継承感」を重視する

創業者がいない動画で陥りがちなのが、「現社長の自己紹介動画」になってしまうこと。
これでは社内向けには通じても、外部には響きません。

重要なのは、“会社としての総意”や“共同体としての想い”を拾い上げること。
複数の社員の声や、家族経営であれば親族の思い出などをつなぐことで、「一人ではなく、皆で受け継いでいる」という印象を与えることができます。

「熱量」よりも「地道な信頼感」で心を動かす

創業者のように強いパーソナリティを持たない場合は、感情的な演出に頼らず、「地に足のついた安心感」で魅せる動画を目指しましょう。
派手なBGMやカット割りではなく、丁寧なナレーションと、ゆったりとした編集テンポが効果的です。

特に、工場・作業現場・地域との関係性など、言葉にしづらい「誠実さ」がにじみ出る映像素材があれば、無理に演出せずとも伝わる動画になります。

代替わりした企業は、個人の熱量よりも、企業としての“積み重ね”や“信頼感”を可視化することで、見る人の心に響く動画を制作できます。
飾らず、派手さも必要ありません。むしろ、真摯に続けてきた歴史の断片を一つひとつ拾い集めていくことが、最も強いメッセージになるのです。

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