実績紹介はいらない?動画に必要なのは“迷った理由”だった

これまで多くの企業動画は「成果」や「実績紹介」にフォーカスしてきました。製品の導入数、顧客満足度、受賞歴など、定量的な成果は信頼性を高めるために欠かせない要素とされてきました。しかし、視聴者がそれに「共感」しているかと問えば、答えはNOかもしれません。近年は数字ではなく、その裏側にある“なぜそれをやったか”“どう迷い、どう決めたか”といった「背景」に価値を見出す視聴スタイルへとシフトしています。

「語る勇気」が共感を生む

このような変化の背景には、SNSやYouTubeなどでの“等身大の発信”文化があります。たとえば、企画がうまくいかなかった理由や、チーム内で意見が割れた葛藤などをあえてオープンに語る姿勢に、視聴者は親近感を覚えます。「完璧」な成果よりも、「不完全」なプロセスの中に自分を重ねられるポイントがあるためです。こうした姿勢を映像で表現するには、“失敗や迷いも含めて語る場”を設けることが重要です。

「背景だけ語る動画」は何を映すか?

では、“背景だけ”を語る動画はどのように構成すべきでしょうか?成果物やプロジェクトの最終結果を映さないという前提で考えると、以下のような要素が中心になります。

映像構成要素 内容例
座談会形式 社員同士で、当時の本音や迷いを語る
メモやホワイトボード 実際の議論で使われた思考の痕跡を映す
オフショット 会議前後や休憩時間のやりとりなど自然なやりとり

これらはすべて、視聴者が「これは作られたものではない」と感じる空気を生み出します。

 “座談会形式”の可能性と工夫

特におすすめなのは、社員による座談会形式の動画です。ただ座って話すだけでは退屈に見える可能性もあるため、「テーマの切り方」や「編集の緩急」が鍵となります。

例:

  • 「あのとき、一番悩んだポイントは?」
  • 「実は反対していたけど、なぜ今は納得しているのか?」

こうした問いかけがあると、発言が深まり、視聴者も思考のプロセスを追体験できます。なお、BGMは控えめにし、間の「沈黙」や言葉に詰まる瞬間もカットせずに残すことで、リアルな空気感を醸し出せます。

どんな企業が向いてるか?

このような「背景にフォーカスした動画」は、特に以下のような企業に適しています。

  • 採用強化を狙うベンチャー企業(組織の価値観を重視)
  • ブランディングを重視する中堅企業(思想や哲学を伝えたい)
  • 顧客との関係性を深めたいBtoB企業(表層的でない理解が必要)

これらの企業では、数字以上に「考え方」や「文化」が選ばれる理由になります。

成果や実績を強調する動画は、これからの時代では“刺さりにくい”傾向が出ています。代わりに注目されているのが、「なぜやったか」「どう考え、どう迷ったか」を丁寧に語る映像。とくに社員同士の座談会形式で、当時の気持ちや判断の背景を共有する動画は、共感や理解を深める手段として有効です。数字で測れない企業の“温度”を、視聴者にそのまま届けてみませんか?

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