地元密着型に効く“通勤路紹介動画”という提案

企業紹介動画といえば、社長メッセージ、オフィスツアー、事業内容の紹介…。そんな定番構成に慣れた今、あえて通勤路だけを映した動画があります。
単に駅から歩くだけ、街角を曲がるだけの映像ですが、そこに社風や働き方の空気感が自然と表れるのです。なぜなら、「働く場所の周辺環境」は、社員の時間の半分以上に関わってくるから。
会社を取り巻く「風景」は、数字では表せない価値を持っています。

「その街に通う」ことの意味を伝える採用戦略

採用動画のゴールは、「ここで働きたい」と思わせること。
実はその感情の大部分は、「仕事の内容」よりも「日々の過ごし方」によって形成されます。通勤路紹介動画は、「職場の前にあるパン屋の香り」「曲がり角で交わす地元の挨拶」など、小さなエピソードの積み重ねを通して、暮らしと仕事が地続きであることを伝えます。
地元志向の強い求職者には、特に響くコンテンツです。

撮影のポイント:「風景」を主人公にする

演出過多な動画は、かえって逆効果。通勤路紹介動画に必要なのは、派手な編集やBGMではありません。
・スマホ目線で歩く
・街の音を拾う(電車の発車音、鳥のさえずり)
・過剰に社員を映さない
このような静かな演出が、「いつもの街の空気」を切り取ります。ナレーションは日常語で十分。「ここを毎朝通って、今日も1日が始まります」――それだけで、十分伝わります。

地方企業・中小企業にこそ向いている理由

大企業ほどブランドが強くない中小企業にとって、「立地」や「街の雰囲気」は大きな差別化要素になります。
特に、都市部ではなく地方にある企業では、「わざわざ働きに行く価値」をどう見せるかが重要になります。
そのため、「この街で働けること自体が魅力である」と感じさせる動画の意義は非常に高いのです。

以下は、地方企業が伝えるべき通勤路要素の例です

要素 伝えられる価値
通勤時の風景 季節感・自然との距離感
地元の店や人 地域とのつながり
交通手段 アクセスの良さ・働きやすさ

SNS時代との相性:長尺ではなく“歩き出す15秒”で十分

通勤路動画は、1分も要りません。最も伝わるのは、駅から会社まで歩き始める「最初の15秒」。
SNSではその短尺こそが再生され、繰り返し見られるフックになります。
たとえば、「月曜の朝、少し肌寒い空気を吸いながら駅を出る」といった情景に、心が動く人もいます。感情ではなく、感覚に訴える素材として、静かながら力を持つのです。

企業の個性や価値観を「日常の風景」で伝える。それが、通勤路紹介動画の最大の意義です。とくに地域に根ざした企業ほど、このアプローチは相性が良く、過度な演出をせずとも“働く実感”を伝えられます。
採用動画における差別化が難しくなっている今だからこそ、「毎日の通勤」という当たり前の時間に焦点を当ててみてはいかがでしょうか。

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