TikTokやYouTube Shortsでは、「#JapanRoutine」や「#JapaneseLife」のように、“日常の一部”を切り取った動画が人気を集めています。華やかな観光地や歴史よりも、「朝の味噌汁づくり」「玄関で靴を脱ぐ動作」「弁当を詰める手元」など、暮らしのリアルな一コマが再生回数を稼いでいます。これは、文化を“体験”ではなく“継続する生活”として見せるアプローチ。
ポイントは【珍しさ × 親しみ】のバランスです。
「文化」ではなく「習慣」を見せる発想
日本文化を紹介しようとすると、つい「伝統」や「歴史」を語りたくなります。しかし、海外でウケているのは「動作」や「選択」などの“習慣的な細部”。
たとえば、
動画内容 | 再生数傾向 |
着物の着付け | 中程度(文化重視) |
出勤前にごはんを炊く | 高い(習慣重視) |
靴を脱ぐ玄関のルール | 非常に高い(身近な文化) |
このように、知識ではなく“行動の積み重ね”としての文化を見せることで、共感と関心を同時に引き出しています。
「再編集された日本文化」の意味
近年注目されているのは、“いかにも”和風ではなく、「いまの日本人の当たり前」を切り取る視点です。たとえばコンビニでのおにぎり購入や、駅の改札を通るときの所作。
これらを通じて、視聴者は“現代の文化”としての日本を理解します。編集ではBGMやテロップを抑え、淡々とした進行が好まれる傾向にあります。
企業が活用する際のポイント
自社のカルチャーを発信したい企業にとっても、この手法は有効です。社員の出勤ルート、昼食風景、ちょっとした雑談や掃除の様子まで、「社風=生活の断片」であることを伝えることができます。
特に地方や地域密着型企業では、地元の景色や食文化を交えた動画が、リアリティと温かみを兼ね備えた魅力になるでしょう。
“文化を伝える”というと大げさに聞こえますが、海外ではむしろ「何気ない習慣」の方が強い関心を呼びます。特別な行事や演出よりも、「いつもの朝」「毎日のごはん」をそのまま見せることで、リアルなジャパニーズ・カルチャーを再編集し、ファンをつくることが可能です。
生活感の中に文化がある——この視点こそ、次の動画戦略の鍵となるでしょう。