社員から社員へ贈る“感謝の動画”が、社風を変える

感謝の言葉は、伝えたいと思ってもなかなか口に出せないもの。とくに職場では「照れくさい」「タイミングがない」と、伝え損ねてしまうことが多いのが現実です。こうした“言えなかったありがとう”を伝える手段として、動画の活用が静かに広がっています。短いメッセージと社員の素顔をつなげることで、言葉以上の気持ちが伝わるのです。

感情ではなく、“文化”を伝えるツールとしての動画

感動を狙う演出よりも大切なのは、動画に映る「人と人の距離感」や「普段の空気感」です。誰かが退職する際の“寄せ書き的なコメント動画”が、結果的にその会社の関係性や価値観を浮き彫りにします。つまり、社内動画は感情の共有にとどまらず、「この会社って、こんなふうに人と接してるんだな」という“社風の可視化”にもつながります。

活用シーン:誕生日・異動・退職だけじゃない

感謝動画といえば、退職時の贈り物や誕生日サプライズを思い浮かべがちですが、実際にはもっと多様な場面で活用されています。たとえば「プロジェクト終了時」「新人歓迎のタイミング」「産休・育休からの復帰祝い」など。小さな節目に合わせて動画をつくることで、習慣として“感謝を表現する文化”が根づいていきます。

制作する際の工夫と注意点

動画は必ずしも編集技術が必要というわけではありません。スマートフォンで撮った自然な映像に、簡単な字幕とBGMを加えるだけで十分。ただし注意したいのは、話す内容のトーンと、映る場面の選び方です。たとえば「業務中のシーン」を入れることで、“働く様子”が自然と伝わります。形式より“その人らしさ”を意識しましょう。

動画がもたらす“空気の変化”とは

こうした動画が日常に組み込まれてくると、社内の会話のトーンが変わります。普段あまり話さなかった人が動画で登場することで、「あの動画、良かったよ」と自然に声をかけるきっかけになります。これは、業務外のコミュニケーションを促す一種の“社内潤滑油”とも言える現象です。
下図のように、動画施策がもたらす変化は段階的に進行します。

導入フェーズ 内容例 期待される変化
スタート期 退職や異動の送別動画 感謝文化の芽生え
定着期 誕生日やプロジェクト完了動画 小さな関係性の活性化
浸透期 年間ルーティン化された感謝動画 社内の空気感・定着文化に

社員から社員へ感謝を伝える“サプライズ動画”は、単なるプレゼントではなく、社内に「気持ちを言葉にする」文化をつくる一歩になります。映像に映るのは人柄よりも、その会社の“空気感”。誰かの言葉が動画になることで、職場に見えないつながりが生まれていく。形式ではなく、「続けやすさ」と「素直さ」を大切にした動画文化の導入が、社風をじわじわと変えていくのです。

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