企業の紹介動画や採用動画において、“社内の雰囲気”や“働く人の声”に加えて、「窓からの景色」が視聴者の印象に残る要素となっています。
無機質な背景に比べ、窓の向こうに見える街並み、空、遠くの山、あるいは港や線路などは、それだけで企業の「日常」を物語るものです。
電車内広告が一様に感じられるのと同様に、背景が白壁ばかりの動画も“同じ”に見えてしまいます。
だからこそ、外の景色を切り取る工夫が必要かもしれません。
「どこで働いているか」が可視化される効果
視聴者にとって、「この会社って、どこで、どんな景色の中で働いているの?」というのは想像しにくいポイントです。
しかし、工場の窓から見える遠くの山並みや、ビルの上層階からの都会の眺望は、それだけで“リアルな空間情報”を提供できます。
たとえば、港の近くにある物流会社の動画で、社員の背後にコンテナが行き交う景色が映り込む。
あるいは、地方都市の本社で、駅前通りを走るバスが窓越しに見える。
こうした映像は、企業の立地や日常の環境を自然に伝える素材になります。
あえて“無人”の景色で語る手法
窓の外を映すシーンに、必ずしも人を配置する必要はありません。
むしろ、朝焼けに染まるビル群や、夕暮れの空と社屋のシルエットといった、“無人の情景”は、余韻を生む演出になります。
この手法は、BGMやナレーションとの相性も良く、セリフのない時間を視覚的に豊かにしてくれます。
動画の中に“呼吸”を入れるような効果があり、見る人の記憶に残ることが多いのです。
「景色」を活かす撮影ポイント
以下のような視点で撮影すれば、単なる“景色”が、映像の個性やリズムにもなり得ます。
撮影時の工夫 | 具体的な効果 |
窓ガラス越しに撮る | 社内と外のコントラストが生まれる |
日の出・日没時に撮る | 空の色味で時間の流れが伝わる |
高さのある窓を選ぶ | “広がり”が映像に加わる |
人の動きと重ねる | 生活感が自然に出る |
無機質な空間からの脱却を図る企業へ
動画制作でありがちなのが、会議室や白壁の一角で無理にセットを組んで撮る構成です。
けれども、「そのままの空間」にこそ、企業の日常があり、信頼感があります。
特に採用動画などでは、「こんな風景の中で働けるんだ」と思ってもらうことが、応募の第一歩になることも。
つまり、背景の“景色”は、視聴者にとって五感のヒントなのです。
電車広告のように一方向の情報発信ではなく、窓の向こうの景色を見せることで、企業の“空気感”を自然に伝える動画。画面の一部に「その会社らしい風景」を入れるだけで、見る人の記憶に残り、語られる動画になります。背景にこそ、ブランドの香りが漂っているのです。