Webサイトに動画を埋め込む際、多くの企業が「とりあえず目立つ位置に置こう」とファーストビューに設置します。しかし、ファーストビュー=最適解とは限りません。訪問者の視線は常に意図どおりに動くとは限らず、「動画があることで逆にスクロールを止める」「読み込みに時間がかかって離脱される」など、マイナス面も存在します。
動画の配置は“目立たせたい”よりも“何を伝えたいか”に基づいて考える必要があります。
ファーストビューに置くメリットとデメリット
ファーストビューに動画を設置する最大のメリットは、第一印象の強化です。ブランドメッセージを一瞬で伝えられることから、ビジュアル訴求が必要な商材に有効です。
一方で、デメリットもあります。とくに以下の点には注意が必要です。
項目 | 内容 |
表示速度 | 動画の読み込みでページの初速が遅れる |
自動再生 | 音声ありの自動再生はスマホで敬遠されやすい |
コンバージョン妨害 | CTAボタンが押されにくくなるレイアウトも |
ユーザー体験を阻害してしまうなら、本末転倒です。
動画の内容と配置の相性を考える
動画の目的によって、置くべき場所は変わります。たとえば、「ブランド紹介」や「採用メッセージ」のように感情を引き出す動画は上部でも効果を発揮しやすいです。
一方で「製品説明」や「使い方ガイド」などの実用的コンテンツは、導線の中盤以降に配置した方が、コンテキストと合致しやすく、視聴されやすくなります。
「全員に見せたい」動画と「興味がある人だけ見てほしい」動画を分けて考えることが、配置戦略の第一歩です。
スマホとPCで見るユーザーの“動き”は違う
モバイル環境では、ファーストビューに動画があるとスクロールに時間がかかるうえ、通信量の懸念も増します。
実際、モバイルユーザーの滞在時間が短いサイトでは、動画があることで直帰率が高まる傾向も。逆にPCではワイド画面を活かした全画面動画での演出が好まれる場合があります。
スマホとPCで出し分ける、あるいはスマホ時は動画の静止画キャプチャを表示し、クリック後に再生させる方法も有効です。
理想的な動画配置を考えるチェックリスト
最後に、動画をWebサイトに埋め込む前に確認したいポイントをチェックリストにまとめました。
- その動画は、すぐ見せるべきものか?
- 動画の読み込み速度は軽快か?
- 音声再生はユーザーに委ねられているか?
- 動画の下に目的の導線(ボタンやフォーム)があるか?
- スマホとPCでの表示確認を済ませたか?
このチェックを通過すれば、動画はユーザーの“興味の流れ”に自然に組み込まれるはずです。
動画はWebサイトにおいて強力なコンテンツですが、配置を誤ると逆効果にもなりえます。とくにファーストビューへの設置はメリットとデメリットが共存するため、慎重な判断が求められます。
伝えたい内容、ユーザーの導線、使用デバイスなどを総合的に踏まえて、最適な配置を検討しましょう。“見せたい場所”ではなく、“見られやすい場所”に置くという視点が、動画活用成功の鍵となります。