動画広告は「商品の性能」を伝えることが主軸ですが、消費者が購入を決める要因に「感情」が強く関わるようになっています。とくにSNS時代のユーザーは、“買ったあとにどんな気持ちになるのか”に注目しており、スペックよりも「心の動き」に反応します。
例えば、「これを買って安心した」「毎朝が楽しくなった」など、感情の変化を前面に出すことで、視聴者にとっての“自分ごと化”が進みます。商品そのものではなく、その先にある体験を描く視点が、動画設計の起点になります。
感情にフォーカスした構成法
動画を設計する際は、「どの感情を伝えたいか」を明確に定めることが鍵となります。以下に例を示します。
感情 | 例にできる商品 | ストーリーの流れ |
安心 | 防災グッズ | 「不安」→「準備」→「心が落ち着く」 |
喜び | ギフト用スイーツ | 「届く」→「驚き」→「笑顔」 |
誇り | 仕事道具 | 「使う姿」→「成果」→「誇らしい表情」 |
解放感 | 旅行用品 | 「日常」→「旅立ち」→「深呼吸」 |
決意 | 勉強アプリ | 「迷い」→「一歩」→「前を向く目」 |
このように、商品1つに感情1つを当てはめ、その流れに沿ったシーン設計を行うと、視聴者の記憶に残りやすくなります。
「誰かの目線」で感情を伝える
演出で大切なのは、ナレーションや豪華なセットではなく、“自分と似た誰か”のリアルな視点です。たとえば、顔出ししない手元だけの映像や、無言のまま感情を描く表情だけのカットも効果的です。
視聴者は「誰が出ているか」よりも、「その人の感じていること」に注目します。感情が自然に表れていることで、違和感なく心に届きます。
動画は“感情の再現”を狙う
共感を得ようとするあまり、「ありがちな構成」になってしまうと印象が薄くなります。重要なのは、視聴者の記憶や経験を呼び起こす“感情の再現”です。
たとえば、「手紙を読む」「コーヒーをいれる」「誰かに手を振る」など、日常のシーンから始めるだけで、特定の感情が呼び起こされます。商品そのものは最後に登場しても問題ありません。
感情ベースの動画が記憶に残る
「1商品1感情」の考え方は、スペックや特徴ではなく、買ったあとの“気持ちの変化”を中心に据える動画です。重要なのは、共感を求めるのではなく、視聴者の感情の“記憶”を呼び起こすこと。リアルな視点、無駄のない演出、そして感情に沿ったストーリー構成が、記憶に残る動画を生み出します。
シンプルな商品紹介より、丁寧に感情を描いた動画は見る人に心に響く広告動画です。