社員が“ゆるく”語るお取り寄せグルメ動画の意外な力

社員がただ「お取り寄せグルメ」について話すだけの動画。台本なし、構成もゆるめ。それなのに、なぜか惹きつけられてしまいます。理由のひとつは、“売り込まれない安心感”。企業動画にありがちな「宣伝・営業感」の空気がなく、視聴者はあくまで「雑談」を楽しんでいる感覚なのです。

「自腹」「好きだから」が信頼につながる

企業が自社製品ではないグルメを社員自ら紹介するという構図には、“無欲さ”があります。しかも多くのケースで、そのグルメは「自腹購入」。この距離感が、「本当に好きなんだろうな」という素直な印象を与えます。
下の表をご覧ください。

要素 視聴者が感じる印象
自社商品紹介 宣伝・営業のにおいを感じる
他社製品を語る 好きの気持ち、信頼が伝わる
自腹での購入 利害なし、本音と感じられる

日常会話が企業の「空気感」を伝える

派手な演出や脚本なしでも、人柄や社内の雰囲気はじゅうぶん伝わります。むしろ、カジュアルな社員トークから滲み出る関係性や空気感こそが、企業に親しみを持ってもらう要素になります。
たとえば、グルメをめぐって「それ、甘すぎて私は苦手だった!」「え~それが好きなの!?」といった何気ないやり取り。こうした一瞬のリアクションに、視聴者は“人”を感じます。

真似をするなら「本気で遊ぶ」姿勢で

この形式を自社で活用する際、大切なのは“半端にやらない”こと。中途半端な演出や営業トークが混ざると、途端に不自然になります。逆に、社員が本気で好きなグルメを持ち寄り、本気で語る。笑いながら、味の感想を語り合う。そこに企業文化がにじみます。
「何を語るか」ではなく、「どう語るか」が問われているのです。

企業動画といえば「説明する」「売る」ものと思われがちですが、社員がただグルメを語るだけの動画が再生されているのは、利害のない“好き”が伝わるから。
日常のトーンで、誰かに語りかけるような動画こそ、会社の印象を柔らかく伝える手段となり得ます。
商品ではなく、社員の素直な感情にこそ、信頼が宿る時代。動画における“脱・営業感”の価値が、今まさに見直されています。

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