企業の動画制作で最も多い質問のひとつが、「PR動画と採用動画って、何が違うの?」というものです。
どちらも“会社を紹介する”という点では共通していますが、目的と届けたい想いや内容がまったく異なります。
PR動画は企業の価値やブランド姿勢を外部に伝えるもの。対して採用動画は、働く人のリアルな姿を見せ、共感で応募意欲を高めるものです。
似ているようでいて、「心の動かし方」が違う。そこを理解することが、動画の成果を分けるカギになります。

目的で分ける“伝えたい軸”の違い
以下のように、目的はスタート地点から異なります。
| 動画の種類 | 主な目的 | 見る相手 | 伝える軸 |
| 会社PR動画 | ブランド理解・信頼形成 | 顧客・取引先・社会 | 会社の理念・事業の価値 |
| 採用動画 | 応募促進・共感形成 | 学生・求職者 | 人・働き方・雰囲気 |
PR動画は「企業そのもの」を語り、採用動画は「その企業で働く人の姿」を通して語ります。
つまり、PR動画は“会社を外から見せる映像”、採用動画は“中から見せる映像”と考えると整理しやすいでしょう。
見る人の“感情フロー”で比較する
動画を見る相手がどのように感情を動かされていくかを、フローで比べてみましょう。
【会社PR動画】
興味 → 理解 → 信頼 → 共感(社会的視点)
【採用動画】
親近感 → 共感 → 憧れ → 行動(個人的視点)
PR動画は、企業の理念やビジョンを通して「社会的信頼」を築く流れ。
一方、採用動画は“人”を主役にし、視聴者が「この人たちと働きたい」と思うまでの“心の近づき方”を設計します。
この「感情の順路」を整理してから構成を考えることで、自然とトーンやカットの選び方が変わります。
どちらも「企業の顔」。だからこそ線引きを明確に
PR動画も採用動画も、最終的には「企業の何を誰にどう伝えるか」を問う映像です。
しかし、伝えたい想いや情報が違えば、構成も演出も変わるべき。
もし両方を同時に制作するなら、
- PR動画:理念・社会的意義を軸に、ブランドの信頼を築く
- 採用動画:働く人の息づかいを中心に、未来の仲間を惹きつける
このように“役割分担”を意識すると、映像の役割がわかります。
「会社PR動画」と「採用動画」は、伝える相手・目的・感情設計のすべてが異なります。
それぞれを“社会に向けた言葉”と“未来の仲間に向けた言葉”として位置づけることで、動画の精度は格段に上がります。
混同しがちな2つを整理し、「誰に何を届けたい映像なのか」を明確にする。
それが、企業の動画戦略を一段上に引き上げる第一歩です。
