2025年 6月 の投稿一覧

「講談で語る社史動画」:伝統芸能で企業カルチャーを発信する方法とは?

企業の沿革や創業ストーリーをまとめた「社史」は、大切な情報である一方、堅苦しくなりがちです。年表形式では見てもらえず、冊子にしても読まれない。それを解決する手段として「講談」があります。三味線ではなく張り扇、滑舌よくテンポある語りで、創業の逸話や社長の苦労話が劇的に変化。伝統芸能のリズムに乗せて語られることで、最後まで見たくなるコンテンツに昇華します。

和のセット+脚色で“距離感”を縮める

講談で語る社史動画の特徴は、セットと語りのトーンにあります。背景は和風の屏風や畳、登場人物の名前はあえて少し変えてみるなど、堅い内容にユーモアのスパイスを加えることで、「身近さ」が生まれます。講談師が語ることで、“これはちょっと脚色された話”と伝わるため、笑いも許容されやすくなります。

社史の伝え方比較 従来の冊子 講談動画
難易度 高い 低い
読了率/視聴率 低い 高い
社員・若手の関心 薄い 興味持つ
外部発信効果 ほぼなし SNS等で話題に

“語り”がもたらす共感と想像力

ナレーションやインタビュー形式では伝えきれない“想像力”の余地があるのも講談の強みです。表情、声の強弱、間の取り方で、同じ内容でも印象がまったく変わります。視聴者は話の展開を頭の中で映像化するため、より深く内容を記憶します。記憶に残る=企業イメージも残る。社史が「覚えてもらえる」状態になるのです。

他企業との違いを打ち出す“文化戦略”

B to BでもB to Cでも、自社のユニークさを伝える時代です。競合他社が多い中では、文化発信が新たなブランディング軸になります。講談で語る社史は、「ウチはまじめだけど、遊び心もあるよ」という信号。社外に対してはもちろん、若手社員にも“面白い会社”という印象を残せます。YouTubeや採用動画としても有効です。

動画化のポイント:やりすぎず、崩しすぎず

最後に講談社史動画を制作する際の注意点です。

  • 内容はリアルに、表現は少しだけ大げさに
  • 時間は3〜5分でコンパクトに
  • 法被やのれんなどの小道具で和風感を演出

とくに「演出」と「事実」の境界は曖昧にせず、あくまで“事実ベースの娯楽”というスタンスを守ることが、信頼感を損なわない鍵となります。

「講談で語る社史」は、情報の伝達手段としてだけでなく、企業のカルチャーを“にじませる”新しい表現方法です。語りの間、セットの雰囲気、ユーモラスな構成によって、「最後まで見てもらえる社史」に変わります。まじめさと遊び心の絶妙なバランスで、視聴者に“覚えてもらえる会社”を目指してみませんか?

自社法被で踊るだけ?盆踊り動画が企業認知に効く?

毎年各地で開催される盆踊り大会。地域住民にとっては馴染み深い行事ですが、近年は“企業プロモーションの場”としても注目されています。理由は単純。音楽とリズムに合わせて多くの人が一斉に身体を動かすことで、「空気が動く」のです。そこで企業が加わると、静的な広告とは違い、自然と視界に入る。踊りの持つ“開かれた雰囲気”が、地域と企業の距離を縮めてくれます。

“踊る企業”が与えるポジティブな印象とは

企業の役職に関係なく、同じ動作をしている姿は、見る側に安心感を与えます。特に自社の法被やTシャツを着て参加することで、「この会社、地域に根ざしてるな」「人がいい会社かも」という印象が自然に残ります。ここでのキーワードは“一体感”。広告のような押しつけではなく、“感じさせる”PRになるのです。

視線を集める:法被、ロゴ、動作の一致

気づいてもらうには、目立つ色と動きが重要です。法被にロゴを入れるだけでなく、踊りの中に手を振る・回すなどの大きな動きが入ることで、ロゴや社名がより目立ちます。下の図は、人の目線の動きとロゴの露出頻度を関係づけたものです。

【社員の踊る動作】 → 【観客の視線が集まる場所】 → 【そこにロゴがある】 → 【ロゴが印象に残る】

(例:手を大きく広げる)→ (胸元や背中に視線集中) →     (法被のロゴ)   →   (認知される)

  • 踊りの動き:特に大きな動作(手を振る、回るなど)は観客の視線を自然に引きつけます。
  • 視線集中の部位:多くは、上半身(胸元や背中)に集まります。
  • そこにロゴ:法被やTシャツの背中や胸にロゴがあると、視線とロゴが一致。
  • 結果的に記憶される:踊りが終わった後も、印象に残りやすくなる。

動画に残すことで、地域外にも波及する

実際に盆踊りで撮影した映像は、短く編集することで企業紹介動画にも活用できます。注目すべきは、“その場で見た人”だけでなく、“あとから観た人”にも伝わる点。SNSや採用ページ、展示会での使用など、利用の幅は意外と広い。動きのある映像は言葉より先に印象を残します。

成果につながる「巻き込み型プロモーション」へ

踊ることで巻き起こるのは、視線だけではありません。現場の社員自身の表情、地域の人との掛け合い、笑い声。それらすべてが「この会社の空気」を表現する素材になります。広告でよく使われる“演出”ではなく、“そのまま”の姿だからこそ伝わるものがある。参加型であるがゆえに、他者を巻き込む力が備わっているのです。

踊りの持つリズムと一体感、そして動作による視線誘導が、企業ブランディングに効果的に働く理由です。さらに映像化することで、地域外へも自然なかたちで企業の姿勢を届けることが可能に。広告とは異なる、親しみと信頼の作り方がここにあります。

声に出して言いたい!地元グルメの名前が持つ“拡散力

「じゃこ天」「かっぽ酒」「きりたんぽ」「まめぶ」…名前を聞いただけで、口に出したくなるこの不思議な感覚。最近、地元の“ちょっと変わった名前”の食べ物がSNSで注目を集めています。背景には、音声とビジュアルを活かした「発音チャレンジ系動画」の存在があります。本記事では、なぜこの形式がバズるのか、その構造と可能性を掘り下げます。

なぜ“変な名前”がバズるのか?

「知らない」×「言いにくい」が引き起こすシェアの連鎖。
珍しい地名や食材名が話題になる最大の理由は、“知らないもの”への反応が、視聴者に印象を残すからです。加えて、「言いにくい」という要素が加わると、「自分も言ってみたい」「誰かに教えたい」という心理が働きます。これは「情報の共有欲求」に直結しており、コメントやシェアを誘発する強いトリガーになります。

発音チャレンジ×ご当地グルメ動画の構成案

ただ紹介するだけじゃない、“参加型”にする仕掛けがあればいいでしょう。

下記は、動画構成の基本フォーマット例です。

セグメント 内容
①イントロ 地元の紹介&食べ物の名前を提示(テロップ強調)
②発音チャレンジ ナレーターが3回挑戦、言い間違いやリズムの変化で笑いを誘う
③実食パート 商品の魅力や由来を紹介(視覚的に)
④視聴者への呼びかけ 「あなたも言える?コメントで挑戦してね!」と投稿促進

こうした構成で、視聴者を「見る側」から「参加する側」へと巻き込みます。

映像の“音声設計”がカギを握る

発音チャレンジ動画では、BGMよりも「人の声」と「テンポ感」が重要です。なぜなら、ユーザーが覚えたり真似したりする際、耳に残るのは「語感」だからです。発音に抑揚をつけたり、リズムを取り入れることで記憶に定着しやすくなります。また、字幕の表示タイミングやフォントも動画のテンポに合わせて設計すべきポイントです。

観光・地域ブランディングとの相性

地元食材の名称がバズることで、観光にも副次的な効果をもたらします。現地でしか食べられないという希少性が話題を呼び、体験価値に変換されていくのです。特に「言葉×味×場所」という三点セットは、オンラインでは完結しきれない魅力を持ちます。地元の商工会や観光協会がこの流れを戦略的に活用するケースも増えてきています。

「名前のクセ」が人を動かす、新たな地域動画戦略へ

発音しにくい、でもなぜか声に出したくなる。そんな“クセのある”地元グルメの名前が、動画という形で全国に拡がっています。単なる紹介にとどまらず、言葉遊びと文化紹介を掛け合わせることで、視聴者の参加と共感を誘発する新しいスタイルが生まれました。今後の地域発信では、“言いたくなる名前”に注目した動画施策が、思わぬ広がりを見せるかもしれません。

社員から社員へ贈る“感謝の動画”が、社風を変える

感謝の言葉は、伝えたいと思ってもなかなか口に出せないもの。とくに職場では「照れくさい」「タイミングがない」と、伝え損ねてしまうことが多いのが現実です。こうした“言えなかったありがとう”を伝える手段として、動画の活用が静かに広がっています。短いメッセージと社員の素顔をつなげることで、言葉以上の気持ちが伝わるのです。

感情ではなく、“文化”を伝えるツールとしての動画

感動を狙う演出よりも大切なのは、動画に映る「人と人の距離感」や「普段の空気感」です。誰かが退職する際の“寄せ書き的なコメント動画”が、結果的にその会社の関係性や価値観を浮き彫りにします。つまり、社内動画は感情の共有にとどまらず、「この会社って、こんなふうに人と接してるんだな」という“社風の可視化”にもつながります。

活用シーン:誕生日・異動・退職だけじゃない

感謝動画といえば、退職時の贈り物や誕生日サプライズを思い浮かべがちですが、実際にはもっと多様な場面で活用されています。たとえば「プロジェクト終了時」「新人歓迎のタイミング」「産休・育休からの復帰祝い」など。小さな節目に合わせて動画をつくることで、習慣として“感謝を表現する文化”が根づいていきます。

制作する際の工夫と注意点

動画は必ずしも編集技術が必要というわけではありません。スマートフォンで撮った自然な映像に、簡単な字幕とBGMを加えるだけで十分。ただし注意したいのは、話す内容のトーンと、映る場面の選び方です。たとえば「業務中のシーン」を入れることで、“働く様子”が自然と伝わります。形式より“その人らしさ”を意識しましょう。

動画がもたらす“空気の変化”とは

こうした動画が日常に組み込まれてくると、社内の会話のトーンが変わります。普段あまり話さなかった人が動画で登場することで、「あの動画、良かったよ」と自然に声をかけるきっかけになります。これは、業務外のコミュニケーションを促す一種の“社内潤滑油”とも言える現象です。
下図のように、動画施策がもたらす変化は段階的に進行します。

導入フェーズ 内容例 期待される変化
スタート期 退職や異動の送別動画 感謝文化の芽生え
定着期 誕生日やプロジェクト完了動画 小さな関係性の活性化
浸透期 年間ルーティン化された感謝動画 社内の空気感・定着文化に

社員から社員へ感謝を伝える“サプライズ動画”は、単なるプレゼントではなく、社内に「気持ちを言葉にする」文化をつくる一歩になります。映像に映るのは人柄よりも、その会社の“空気感”。誰かの言葉が動画になることで、職場に見えないつながりが生まれていく。形式ではなく、「続けやすさ」と「素直さ」を大切にした動画文化の導入が、社風をじわじわと変えていくのです。