映像制作

音声なしでも伝わる字幕付き動画を作るには?

音声を出せない場所での動画視聴は、いまや日常です。電車内、職場の休憩中、寝室…。スマートフォンを手にしたまま、音なしで動画を見ることがあります。YouTubeやSNSでも、動画の自動再生は「ミュート」が基本。視聴者が「音を出さない前提」で行動している以上、字幕の重要性は自然と高まりました。

SNS動画の標準仕様が「字幕あり」になった

InstagramやTikTok、X(旧Twitter)など、多くのプラットフォームでは字幕付き動画がもはや「基本形」です。特に広告や短尺動画では、最初の3秒で伝えられなければスクロールアウトされるため、テキストによる視認性が強く求められます。字幕は「動画を見てもらうための最低限の工夫」と言えるでしょう。

聴覚に依存しないコンテンツが広く支持されている

字幕付き動画が求められるもう一つの理由は、「情報の即時取得」です。音声はどうしても時間軸に制約がありますが、字幕があれば視聴者は自分のペースで理解が可能。さらに、聴覚障がい者や高齢者にとってもアクセシブルなコンテンツとなるため、社会的な配慮という観点でも導入が進んでいます。

「伝える力」としての字幕の役割

字幕は単なる音声の補足ではありません。むしろ、情報設計の一部として活用され始めています。たとえば、伝えたい要点を文章で強調したり、映像とタイミングを合わせて印象に残すなど、字幕の使い方次第で動画全体の伝達力が変わります。下図は字幕の有無による理解度への影響を示したものです。

字幕の有無による情報理解度(当社調査例)

字幕の有無 視聴の印象に残った割合
字幕あり 約65%
字幕なし 約30%
その他 約5%

音に頼らない動画は「気づかれず、伝わる」

ビジネス動画の分野では、動画をあえて“静かに”届けるという考え方も重要です。たとえば、展示会場やWebサイト、待合スペースなど、音がない方が好まれる場面は多く存在します。その際、字幕がしっかり入っていることで、視聴者は内容を理解し、メッセージがブレずに伝わります。「視聴環境を選ばない」ことが、企業動画にとって大きな武器になるのです。

字幕付き動画がスタンダードとなったのは、視聴者の環境や行動が変化したからです。スマホで音を出さずに見る習慣、SNSでの無音スクロール、アクセシビリティの観点など、さまざまな背景があります。企業が動画を発信する際は、「字幕は必要かどうか」ではなく、「どのように字幕を活用するか」を考えるべき時代です。視聴環境に左右されず、確実に伝わる動画づくりの鍵は、テキストと映像の融合にあります。

取引先への「サンクスムービー」は営業活動になる?

営業活動と聞くと、提案書やプレゼン資料が主役と思われがちです。しかし、取引先との関係性を築くうえで「感謝の気持ち」を表現することが、実は強力な営業手段になることがあります。
感謝を伝えることは、信頼関係の土台を再確認し、今後の継続や新たな提案への地ならしにもなるのです。特に動画という形式は、「声」と「表情」で伝わるニュアンスが加わり、紙やメールよりも印象に残りやすいという利点があります。

サンクスムービーのポイント

サンクスムービーは、感謝を伝えるだけでなく、さりげなく自社の価値観や姿勢を示す場でもあります。以下のような構成がポイントです。

セクション 内容
冒頭 会社・担当者名と挨拶(シンプルに)
中盤 取引に対する具体的なお礼(事実ベースで)
終盤 今後の展望やつながりへの期待(売り込みにならない範囲で)

感謝の言葉は抽象的になりがちなので、「〇年間のお付き合いありがとうございます」「昨年度の〇件のプロジェクトでご一緒できたことを…」といった具体的な数字や事例を交えると、より伝わりやすくなります。

テンプレート化することで継続可能にする

取引年数ごとに動画の内容を変えるアイデアは、「定型+個別対応」のハイブリッド方式といえます。
たとえば、以下のような動画テンプレートが考えられます。

  • 【1年目】「出会いに感謝」型:はじめての信頼関係構築に重点
  • 【3年目】「継続に感謝」型:共に成長した実感を表現
  • 【5年目以上】「長期パートナー型」:ビジョン共有や未来への展望も加える

このようにカテゴリごとにテンプレートを用意することで、制作負荷を抑えながらも、受け手に「私たちのことを見てくれている」と感じさせることができます。

メール添付ではなく“専用ページ”で届ける手も

感謝動画は、ただ送るだけでなく「届け方」によっても印象が変わります。
たとえば、感謝ムービー専用のLPやWebページに動画を掲載し、そこに個別のメッセージや過去の取引履歴を掲載することで、“贈り物”のような体験になります。

図:感謝動画の配信チャネル比較

方法 特徴
メール添付 気軽だが、再生環境に依存する
専用ページ 演出・補足情報を含めて伝えられる
QRコード付きカード 手渡し時にも活用できる。展示会やイベント後にも有効

こうした一手間が、営業担当の印象を大きく変える可能性があります。

「サンクスムービー」は単なる感謝の表現を超え、関係構築や提案の土台として営業活動をサポートする力を持っています。取引年数に応じたテンプレート化、動画の届け方の工夫など、少しの仕組み化で継続的に運用できます。「感謝を言葉で終わらせず、形にする」という発想が、企業姿勢として伝わることが、動画戦略の本質なのかもしれません。

インターン向け動画の効果と活用方法

インターン募集の競争が激化する中、他社と差をつける手段として「動画」が注目されています。
特にSNSや就活サイトでの視聴体験が当たり前になった学生にとって、静的な情報より“短時間で感覚的に理解できるもの”が好まれる傾向にあります。
説明会や企業HPだけでは伝えきれない“働くリアル”を、動画で補完する企業が増えているのが実情です。

学生が見ているのは「企業の素顔」

多くの企業は理念や事業内容をしっかり説明しますが、学生が本当に知りたいのはそこではありません。
「どんな人がいるのか」「自分が馴染めそうか」「1日の流れはどうなっているのか」など、働く環境や雰囲気に関する“肌感覚の情報”が求められています。

下図のように、動画でのニーズは具体的に分かれます。

学生が動画に求める要素(抜粋) 関心度(5点満点)
現場の雰囲気 ★★★★★
社員のキャラクター紹介 ★★★★☆
業務内容の説明 ★★★☆☆
オフィス・施設の紹介 ★★☆☆☆

どんな動画を作るべきか?

「動画を作ろう」と言っても、何をどう見せるかが肝心です。インターン募集で成果が出ている動画には、次のような要素が含まれています。

  • 社員の1日密着映像(リアルな業務体験が想像しやすい)
  • 社員座談会(クロストーク)(人柄や社風が垣間見える)
  • オフィス紹介+休憩時間の風景(“働く以外”の部分も大切)

特に人気があるのは、若手社員や元インターン生が登場する動画です。自分と近い立場の登場人物に親近感を持ち、応募に一歩踏み出すきっかけになります。

動画制作前に考えておくべき3つのポイント

制作を始める前に、以下の3点を明確にしておくと動画の質が上がります。

  • 「誰に向けて作るのか」:理系?文系?学年は?
  • 「応募のどの段階で見せたいのか」:初期接触?説明会?選考後?
  • 「何を感じてほしいのか」:安心感?やりがい?楽しさ?

すべてを詰め込むと冗長になるため、ターゲットを絞った設計が成功の鍵です。

インターンシップ募集における動画の活用は、単なる情報伝達手段ではなく、学生との最初の接点であり、信頼を築く導線でもあります。
「働く自分」をイメージさせる映像があることで、学生の不安を取り除き、応募への後押しにつながります。
ターゲットと目的を明確にし、「等身大の企業」を見せる動画設計が、これからのインターン採用のカギとなるでしょう。

社内表彰式を動画にする意味|企業文化に効く“記録の力”とは?

社員表彰式の動画は、単なる記録だけでなく、社内外に対する“文化の発信”が可能です。特に年間MVPや功労賞のような賞は、働き方や価値観を体現した社員を可視化できる絶好の機会。そこに「家族からのメッセージ」などの演出を加えることで、記録性と感情価値を両立させた映像になります。

社員の“承認欲求”がチームへの貢献意識を高める

動画として残すことで、表彰は一過性のものではなくなります。受賞者にとっては長く残る栄誉であり、周囲の社員にも「自分も頑張りたい」という心理的な連鎖を生みます。とくに「社内で認められる経験」は、目に見えない貢献に光を当て、チーム全体の士気を底上げします。

【表:動画化による社内表彰の心理的効果】

効果 説明
社員の自尊感情向上 成果を認められた映像が残ることで自己評価が高まる
チーム貢献意識 同僚の努力が見えることで自分の役割への意識が強化される
離職率の抑制 働きがいを感じられることで定着率向上に寄与

家族メッセージで社内イベントを「人生の記録」に

最近では、受賞者のご家族からのサプライズ動画メッセージを取り入れる企業もあります。このような要素は、社員自身の心に深く残るだけでなく、「働くこと」に対するモチベーションを強化します。会社と家庭がつながる瞬間を演出することで、「この会社で働いて良かった」と思える土台が生まれます。

採用やブランディングへの副次的効果

動画で表彰文化を公開することは、社外への発信にもつながります。特に採用活動では「どんな人が活躍しているか」「どんな風土があるか」を動画で伝えることができ、求職者にとってリアリティある判断材料となります。また、社内イベントを動画化すること自体が、「社員を大切にする企業」という印象を与え、企業ブランディングにも有効です。

ドキュメンタリー+感情の流れを意識

表彰式動画を制作する際は、単なるスピーチ記録に留めず「ストーリーの流れ」を意識しましょう。受賞者の紹介 → 表彰 → インタビュー → 家族メッセージといった構成にすることで、視聴者が自然と感情を追える映像になります。また、感動的な音楽や適度な字幕も効果的です。ただし過剰演出は逆効果なので、リアルさを損なわないよう注意が必要です。

社内表彰式を動画として残す取り組みは、単なる記録にとどまらず、社員の承認欲求を満たし、組織への帰属意識を高める「文化醸成のツール」として機能します。さらに家族メッセージのような人間味ある演出を加えることで、企業と社員のつながりをより強く、温かいものに育てていけます。採用や社外発信にも効果を発揮するこの手法、貴社の次の表彰式から導入してみてはいかがでしょうか。

展示会動画に音が必要とは限らない理由

展示会といえば、活気にあふれた空間。BGMやナレーションが印象に残る……。そんなイメージが強いかもしれません。しかし実際の会場では、隣接ブースの音やアナウンスで“聞こえにくい”環境が常です。
その中で効果を発揮するのが「音を使わない動画」。つまり「静かな動画」です。音を排除することで、逆に目を引き、来場者の足を止めやすくなるのです。

「静かな動画」が注目を集める3つの理由

ポイント 内容
視覚に集中できる 騒音の中でも情報がしっかり届く
違和感が武器に 「音がしない」というギャップが注目を集める
滞在時間が延びる 内容を“読む”ことで自然と立ち止まる時間が長くなる

静かだからといって地味になるわけではありません。動き・テキスト・テンポを緻密に設計すれば、むしろ「止まって見たくなる」力を持ちます。

音なし動画で伝える内容と設計ポイント

静かな動画であっても、伝えるべきは自社の魅力。以下のような要素を盛り込み、テンポよく見せる構成が有効です。

  • まずは「強い見出し」やキャッチコピーから始める
  • ビジュアルで工程・特徴・製品を順に見せる
  • 適度に大きめのテロップやキーワードを配置する
  • 1本30秒〜60秒でテンポ良くまとめる

ナレーションや説明ができない分、構成力と見せ方の工夫がカギになります。

展示会で「音なし動画」が向いているシーンとは

BGMなしの動画は、特に以下のような展示会ブースで効果を発揮します。

  • 無人対応の時間帯があるブース
  • スペースが限られていて音響設備を置けないブース
  • 海外からの来場者が多い展示会(テロップ主体なら言語対応しやすい)

音を排除することで、シンプルに、誰にでも伝わる情報提供が可能になります。

静かな動画を最大限に活かす演出テクニック

以下の工夫を加えることで、より“視覚だけ”でも伝わる映像になります。

  • 動きのメリハリを意識する(静→動の切り替え)
  • 文字の出し方を一定にしない(縦・横・中央など動かす)
  • 背景はシンプルに、情報を際立たせる
  • 説明が必要な部分は図解や矢印などで補足

音がないからこそ、映像だけで「何を伝えたいのか」が明確になることが重要です。

展示会では、あえて音を使わないことで他ブースとの差別化が図れます。視覚だけでしっかり伝える動画は、来場者の視線を集め、情報を的確に届ける手段になります。音に頼らず、動きや文字で惹きつける「静かな動画」は、これからの展示会動画の新たなスタンダードになりつつあるのかもしれません。

社員紹介×動画で企業の温度が伝わる理由

ビジネスにおいて、製品のスペックや価格競争力は当然の条件ですが、顧客が最終的に選ぶ理由は“安心感”や“共感”であることが増えています。特にB to B領域では、長期的な関係性が重視されるため、「どんな人たちが作っているか」「どんな価値観を持っているか」といった“人間的な側面”が評価基準になります。

下図は、企業選定時に重視されるポイントの一例です。

評価項目 重視される割合(例)
製品スペック 30%
価格 20%
担当者の対応や印象 25%
企業文化・価値観 15%
その他 10%

社員を紹介する動画は、この“製品外の要素”を担うメディアとなります。

社員の「趣味」や「個性」を見せることの効果

一見、業務に関係のないように思える「趣味」「休日の過ごし方」「ちょっとしたクセ」などが、実は企業への親しみやすさにつながります。SNS全盛の今、「肩の力が抜けた情報」の方が視聴者に刺さるケースが多く、個人の魅力がそのまま企業ブランディングへと転化していくのです。

たとえば「ギターが趣味の設計担当者」「猫好きの営業部長」など、ほんの短い紹介でも企業の“空気感”が伝わります。こうした動画は、採用活動や取引先への紹介にも有効です。

撮影・構成のポイントは「ナチュラルさ」

動画制作において重要なのは、“演じすぎないこと”です。台本通りに話すよりも、リラックスした雑談の中にこそ個性がにじみ出ます。ポイントは以下のとおり。

  • 雑談形式のインタビューにする
  • 趣味のアイテムを画面に入れる(楽器、スポーツ用品など)
  • ロケ地は社内のちょっとした空間(休憩所、屋上など)

プロモーション動画というと堅苦しくなりがちですが、「あえて砕けた映像」にすることで、人の体温が伝わりやすくなります。

企業としての一貫性は「編集」で整える

自由な個性を出しつつも、動画としてのトーンを統一することも大切です。バラバラな印象にならないよう、編集での一貫性を保ちましょう。

  • 統一フォーマット(冒頭に名前と部署、締めは一言コメントなど)
  • テロップの色やフォントを会社のCIに揃える
  • BGMは柔らかめのものを全動画で統一する

このように編集によって“企業の統一感”を演出することで、視聴者が持つ印象に芯が通ります。

活用シーンと動画の導線づくり

完成した動画は、「見てもらう場所」を明確に設計しておきましょう。効果的な導線設計の一例としては以下の通りです。

導線先 推奨する活用法
企業ホームページ 採用情報ページの中で社員紹介に使用
展示会ブース モニターやタブレットでループ再生
名刺交換後のメール 自己紹介リンクとしてURLを貼る
SNS タグをつけて自然な投稿形式で拡散

“観てもらう設計”がなければ、どれほど良い動画も埋もれてしまいます。

「社員紹介動画」は、単なるコンテンツではなく、企業の印象そのものを伝えるツールです。特に社員の“好きなこと”や“素顔”を映すことによって、製品では伝えきれない温度感や価値観が伝わります。構成のポイントは“自然体”であること。無理に作り込まず、編集で全体の一貫性を保ちつつ、活用場所まで設計すれば、採用・営業・広報と幅広いシーンで効果を発揮するでしょう。

新メニュー紹介動画の構成テンプレ

新メニューの動画がSNSに投稿されるのは当たり前になりました。しかし、「投稿しても反応が薄い」と感じるケースは少なくありません。その原因の多くは“構成の甘さ”にあります。どんなに見た目が良くても、視聴者の離脱を防げなければ意味がないのです。
特にTikTokやInstagramでは、初動の数秒でユーザーがスクロールを続けるかを判断します。だからこそ、バズを狙うには「順番」と「情報の圧縮」がカギとなります。

ファースト1秒の「視覚インパクト」

冒頭1秒で何を見せるかが、再生数を大きく左右します。以下はSNSで効果的だった冒頭演出の一例です。

冒頭で使えるインパクト演出 内容
湯気・とろけるシーン 温かさや食感の訴求
カット断面 食材のボリューム感や新鮮さ
視覚的ギミック カメラを引き込む“跳ねる具材”など

特に音声に頼れない環境(音オフ再生)では、視覚表現だけで「うまそう」「気になる」を成立させる必要があります。

「メニューの魅力を伝える」テンプレ解説

動画の構成には一定の“型”があります。以下は飲食業向けの基本テンプレートです。

【1】冒頭インパクト(1〜2秒)

【2】新メニューの全体像(2〜4秒)

【3】詳細(具材・価格・テキスト強調)

【4】限定感・購入方法の訴求(2〜3秒)

【5】締めの一言(ブランドロゴやハッシュタグ)

10〜15秒以内で収めるのがSNS動画では主流です。テキストで情報を補足しつつ、視覚的にわかりやすくすることがポイントです。

SNS別構成の違い(TikTok/Instagramリール/X)

SNSごとにユーザーの反応傾向は異なります。構成も微調整が必要です。

プラットフォーム 長さ 特徴 構成の調整ポイント
TikTok ~15秒 テンポ重視、音あり前提 音楽との同期を意識する
Instagramリール ~30秒 視覚映えとブランド感重視 美しさとテンポの両立
X(旧Twitter) ~45秒 拡散性重視、文字補足が有効 テロップや絵文字で情報補完

同じ素材でも編集の工夫でプラットフォームごとに最適化可能です。

制作時の注意点と必要な“余白”

情報を詰めすぎると、かえって何も伝わらないこともあります。
動画には「見る余白」が必要です。
文字数・シーンの切り替え速度・BGMの選定など、視聴者の“理解する余地”を残しましょう。
また、日常投稿に見せることで「広告臭をなくす」ことも技のひとつです。

新メニュー紹介動画でバズを狙うには、構成を工夫することが欠かせません。特に冒頭1秒のインパクト、全体のテンプレート構成、そしてSNSごとの最適化がカギとなります。情報を詰め込みすぎず、見る側が「思わず止まってしまう」余白をどう作るかが、成功への分かれ道です。今後の動画制作では、「何を伝えるか」より「どう伝えるか」に一歩踏み込んだ工夫が求められます。

志望動機を“未来形”で語る時代へ|応募型ムービーの新潮流

採用活動における志望動機といえば、「なぜ御社を志望したか」という“過去”の理由にフォーカスするのが一般的でした。しかし、企業が本当に知りたいのは、応募者が「この会社でどんな未来を描いているか」という視点です。これを可視化する方法として、応募者が自身でスマホ撮影する“未来形志望動機ムービー”です。

応募型ムービーの企画意図とは?

企業側がこの形式を導入する狙いは、「志望度の高さ」や「価値観のマッチ度」をよりリアルに把握することです。文字情報では伝わらない表情や話し方、話の組み立て方を通して、採用の精度が高まります。また、企業の側も応募動画を素材に使い、広報やブランディングへつなげることが可能です。

比較項目 通常のエントリーシート 応募型ムービー
表現の幅 文字情報に限定 非言語情報も含められる
本音の引き出しやすさ 限定的 自然な口調が出やすい
ブランディング効果 なし 活用可能(許諾必須)

どう依頼する?撮影のポイント

「動画を撮ってください」と言うだけでは、応募者は戸惑います。そこで、企業側は以下の3点を伝えることが重要です。

  • 撮影時間の目安:60秒以内
  • 撮影形式:スマホの縦型動画
  • 話す内容:この会社でやりたいこと/なぜそう思ったか

自由度が高すぎるとハードルが上がるため、軽いテンプレートや例文を提示してあげると、応募者の負担も軽減できます。

採用だけでなく企業文化の“鏡”にもなる

これらの応募型ムービーは、単なる採用の判断材料にとどまりません。公開範囲を限定しつつ、社員間で視聴することで、「どんな人がこの会社に来ようとしているか」という共通認識を育てることもできます。これは、組織の文化や方向性を確認するひとつの手段にもなります。

注意点:応募者の心理的負担と公開範囲の扱い

一方で、動画提出は応募者にとってハードルが高く感じられることもあります。「話すのが苦手」「見た目が気になる」といった不安にも配慮し、あくまで提出は“任意”とし、評価軸を明示することが大切です。また、二次利用(広報など)については、応募者の同意を得ることが前提です。

「志望動機を“未来形”で語る時代へ|応募型ムービーの新潮流」では、応募者自身が撮影する“未来志向型”の動画が、採用活動に新たな視点をもたらすことを紹介しました。文字では伝わらない意欲や価値観を知る手段として有効なこの手法は、企業の採用スタンスを可視化する役割も担います。ただし、応募者への配慮と適切なガイドラインの提示が欠かせません。動画はあくまで可能性を広げるための手段であることを忘れずに、導入の判断を行いましょう。

【現場のリアルを伝える】工場紹介・製造工程動画

製造業における信頼は「見える化」がカギを握ります。製品そのものだけでなく、どんな場所で、どんな人が、どう作っているのか。この情報へのニーズは年々高まっています。

パンフレットやサイトだけでは伝わりにくい部分を、動画が補完する。特に、工場内の様子や製造工程の透明性は、取引先や求職者にとって重要な判断材料になります。

撮影前に必ず押さえたい3つの準備事項

撮影には、準備段階での整理が欠かせません。

準備項目 内容のポイント
動画の目的 採用向け?営業資料?Web掲載用?ゴールを明確にする
工程の選定 “流れ”を見せるより、“特徴的な動き”のある工程を優先する
動線の確保 撮影中にスタッフや作業を妨げないよう、機材配置を検討する

無理に工程すべてを映す必要はありません。「この工程こそ、自社らしさがある」と感じる部分に絞りましょう。

撮影現場での注意すべきポイント

現場での撮影は「リアルさ」と「安全性」のバランスが求められます。

  • 照明が暗い工場は補助ライトを活用:特に溶接などの工程では、明暗差の調整が重要です
  • 騒音の多い現場はナレーション後入れが基本
  • 動線を邪魔しない定点カメラの設置も有効

また、作業スタッフが映る場合は、あらかじめ服装や動作に注意を呼びかけることで、清潔感のある映像になります。

工場紹介動画が活躍する場面

工場動画の使い道は、想像以上に多岐にわたります。

活用シーン 利用目的
展示会・営業資料 自社技術の信頼性をビジュアルで示す
採用活動 若手求職者に「働く現場」の雰囲気を伝える
海外向けPR 言語よりも“映像”で工場のレベル感を伝える
自社サイト・SNS投稿 継続的なブランディングとして活用できる

撮った映像は1回で終わらせず、編集を加えながら複数のシーンで活用することで、投資対効果が高まります。

工場動画を印象づける撮影アイデア

最後に、“見せ方”のアイデアをご紹介します。

  • 製品が完成するまでを真上からタイムラプスで
  • オペレーターの手元の細かい動きをクローズアップ
  • 製造中の音をBGMにせず、“リズム”として活かす演出
  • 工程の途中で図解やアニメーションを挿入して理解を促す

「現場感」と「情報伝達性」の両立を意識した構成が、記憶に残る動画につながります。

工場の魅力は“工程”より“姿勢”で伝わる

工場紹介動画は、単なる作業の記録ではなく、「どれだけ丁寧に、誇りを持って製造しているか」という“姿勢”を伝えるものです。
撮影の準備・構成・見せ方を工夫することで、信頼や共感を得る強力な武器になります。

まずは「伝えたいこと」を明確にし、社内での共有からスタートするのが成功への第一歩です。

 

SNSで話題を呼ぶ企業動画とは?

企業のSNS活用が当たり前となった現在、動画の設計はただの流行追随ではなく、広報戦略の一環です。広告費をかけず、自然拡散によって大きな認知を得られるバズ動画は、特に中小企業にとって費用対効果の高い施策となります。

共通する3つの要素

SNSごとに最適化は必要ですが、以下の3点はプラットフォームを問わず、バズ動画に共通する構成要素です。

要素 説明
冒頭の“違和感” 0.5秒で「何これ?」と思わせる視覚的インパクトが重要
尺の短さ 10〜30秒がベスト。最後まで見られることが拡散条件
編集のテンポ感 間延びや沈黙は致命的。情報量が多くてもサクサク見せる

これらを押さえたうえで、各SNSごとの“文法”を理解する必要があります。

Xでの動画の特徴と構成

Xは“拡散の連鎖”を狙う場所。以下の特徴を押さえることで拡散されやすくなります。

  • 最適尺:20秒前後
  • 構成:「直球型」…最初の3秒で全てを伝える
  • 投稿の工夫:「共感 or 突っ込み」されやすい文脈をセットで

また、字幕やナレーションがなくても「状況が伝わる映像」であることが肝心です。通勤中や無音再生でも理解できる内容が強いです。

Instagramリールは“視覚美”と“縦長活用”

Instagramリールは視覚訴求に優れた動画に強く、以下のような特徴があります。

  • 最適尺:15〜30秒
  • 構成:ビジュアル重視。「見ていて心地よい」「美しい動き」の要素を入れる
  • ユーザー期待値:ライフスタイル、店舗紹介、感情に訴える演出

また、縦長(9:16)の全画面表示を意識した構成が必須です。中央寄せではなく、画面上下に情報を振り分けて使うと、視認性が高まります。

TikTokは“予想外”と“リアル感”が強さの鍵

TikTokは「意外性」と「親近感」の融合がウケやすい傾向にあります。

  • 最適尺:10〜20秒(長くても60秒以内)
  • 構成:「起→伏→ドン」の型を意識。笑いや驚きを入れる
  • 再生されるコツ:企業色を出しすぎない/社員の自然な演技やコメントを活用

企業アカウントでも、舞台裏や失敗シーン、社員の人間味がある場面が高く評価される傾向があります。TikTokでは「演出された完璧さ」より「リアルさ」が求められているのです。

SNSでの企業動画には、各プラットフォームに最適化された構成と表現方法が存在しますが、「短尺・直感的・一目でわかる」といった3つの共通要素は不変です。Twitterでは拡散力、Instagramではビジュアル性、TikTokでは予想外性がカギを握ります。企業としての公式色を抑えつつ、見る人の“予想を裏切る”動画が、今日のSNSでは最も大きな反応を得るのです。自社の魅力を発信する手段として、SNS動画は今後ますます重要性を増すでしょう。